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寒桜の話
- ナレーター: 福井 一恵
- 再生時間: 14 分
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著者: 西田幾多郎
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語り手にとってトマトは、男たちとの交際の記憶を幼時に齧った折の青ぐささと共に甦らせる不思議な存在だ。学生時代、初めてキスし、交わった男は農業大学の研究生。アステカ族が住む地域でトマトの原種を育成研究するため、「私」のもとを去り、メキシコへ渡った。一個のトマトをベッドに残して……。
南米アンデス山脈原産のトマトは、大航海時代にイタリア半島にもたらされたが、毒性が恐れられ、当初は観賞用だったとされる。「黄金の果実」を巡って、作家の奇想が冴えわたる作品。
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夫が愛したのは、なんと、御殿ご寵愛の男、だった・・・ 女として、武家の妻として、揺れる心を描ききった佳編。——妻として、また二児の母として生きつつ、同人雑誌に作品を発表しつづけて十年余、みごと直木賞を受賞したときには「主婦作家」「プロ作家になれるかどうか」とまで評された安西篤子の実力をご堪能ください。
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長い間病気で臥していた太郎は、ようやく床から出られるようになりました。日の出ている間だけ外に出ることができた太郎が外に出てみると、どこにも友だちの姿がありませんでした。ひとりしょんぼりとしていると、往来の上からひとりの少年がふたつの金の輪をまわしながら走ってきました。美しく光る金の輪をまわす少年は、太郎に向かって微笑んで、往来の向こうへ消えていきました。次の日に太郎が同じ時刻に外に出てみると、再びその少年に出会いました。そしてまた太郎に向かって微笑みかけて、消えていきました。その晩、太郎は夢を見ました。太郎は、その少年から金の輪をひとつ分けてもらって、どこまでも走って行って、赤い夕やけの中にとけていきました。
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「私は同地の繁栄のため早くこの二つの赤、白サクラを栽えられんことをお奨めして止まない。マーやってごらんなさい。きっと当たるよ。」
朗読はNHK出身アナウンサー福井一恵。
眠れない夜に、睡眠導入朗読としても聞くのもお勧め。