かつて愛し合った女と男。今は罪人と被害者として向かい合っている。「おれたちはとびっきり似合いの一対になるんだ」。

二人の乞食の間に生まれる優しさと、その先に待ち受ける容赦のない真実を描いたモーリスルヴェル原作の短編小説。

「碧眼」と呼ばれた娼婦が亡くなった恋人との約束で、墓になんとか花を供えようとする。しかし皮肉な結末が待っていた。

ジャンは母が生前に彼に宛てて書いた手紙によって、ある事実を告白される。平穏な家庭生活もこれを限りだ。しかし目の前には、一点のくもりもない温情に満ちた父。

一丁のピストルに魅せられたように目が離せなくなり、手に取らずにはいられない抗いがたい誘惑。

お互いの信用を失った男と女房のひりひりするような修羅場。そしてこのうちの子どもは、その証拠とも言えるほど、よその男によく似た面影を持っていた――。

私生児として苦労したが、父親は冷たく助けてくれず、憎くて殺してしまった。しかし、犯した罪は無駄骨であった。

空家で真夜中に盗みをはたらく主人公。暗闇の中、じっとして瞬きもせず睨みつけてくる老人がいた。彼は死に物狂いになった獣のように、ナイフを振り上げては老人に突き刺す。

ある日フランソアズは、新聞で倅が逮捕されたという記事を読みぎょっとした。

フェリシテは週一度、土曜日だけムッシュウ・カシウと逢瀬を重ねていた。出会いはふとしたことからで、そんな逢瀬も２年に及ぼうとしています。

殺人容疑で尋問を受けている男は、殺された女も凶器のナイフも見たことが無いと言って頑なに罪を認めない。

真実が語られることにより、それぞれが自責の念に取りつかれていく検事達の物語。

無邪気に遊び走り回る子ども。名前はジャン。苗字はない。二人の母親に育てられている。子どもは二人に同じように懐いている。だけど母親の心の中は……。

アルトヴェルという猟師とその夫人の間でおこる、人間の内なる狂気を描いたモーリスルヴェルの短編小説。

老嬢はお互いを理解し合う老猫と一緒に暮らしていた。毎朝教会へ行くほかは部屋に引きこもるのが好きで、純潔でないものを毛嫌いした。

ある医師の誤診により、一人の男が悲しみと狂気に翻弄される様を描いたモーリスルヴェル原作の短編小説とある医師のもとに自分を診てほしいと一人の男が訪ねてきた。

十時五十分の急行がたどり着く結末と息苦しいほど迫りくる男の心情「あの列車だけはお止めなさい」

書斎に置かれた頭蓋骨になぜか惹き付けられる主人公の前に不思議な事がおきる。それは夢なのか、現実なのか…

一人ぽっちで世の中をわたって来た、年取った男がいた。友達も持たないし、結婚をしないという決心に変わりはなかった。それを静かでいいと思っていたけれど……。

めずらしい事件や突発の災難、珍事を見物するのが好きだという変わった道楽をもつ男。今度この男が興味をもったのは、きわどいはなれわざで観客を魅了する自転車曲芸団だった。

乞食は、坂道で出会った荷馬車を引く男を助けたい一心で助けを求めに行くが、つれなく追い返される。

二代目・エドガー・アラン・ポーと称され、「悪魔の辞典」で日本でも広く知られているアンブローズ・ビヤースの作品。この作品に出てくる「妖物」をあなたは見たことがあるだろうか。

犯人の手がかりも動機も不明な、不可思議な殺人事件が起きた。捕まりっこないと思われていたが、警察の検証をした医師はある手がかりを見つけた。

絶望的な時間の中に一瞬訪れる安息のひと時。一筋の光の中に希望を見出す主人公の姿に生きるヒントが隠されているのかもしれない。ステレオ音声でご鑑賞下さい。

【評議員達は二度特別会議を開いて重大な決議をした。・第一条。何事に依らず古来定まりたる事を変更すべからず。・第二条。本市以外には一切取るに足る事なしと認む。・第三条。市民は先祖伝来の時計及キヤベツを忘却すべからず。】 エドガー・アラン・ポーのなんとも異様で滑稽な作品です。原題は「THE DEVIL IN THE BELFRY」。オランダ・スピイスブルク市の話です。最後に時計が十三時を打った時、そこでいったい何が起こったのか…。森鴎外の翻訳でお楽しみください。 ※本作品は発表時の未熟な時代背景から、今日の社会では一般的でなく、不適切と思われる表現が含まれている箇所がございます。しかし作品のオリジナル性を最大限に尊重し、なるべく当時のまま忠実に再現することを優先いたしました。(C)2008青空文庫