-
サマリー
あらすじ・解説
Q: 店長です。最近、労働基準監督署の調査があり、36協定が出ていないので出してください、と言われました。36協定とは何か、出さないと何がダメなのか、教えてください。 A: 36協定とは、残業や休日出勤を行うために必要な届け出の通称です。これを出さないで残業などをスタッフにさせていると違法となり、罰則が科せられることがあります。 こんくり株式会社 https://con-cre.co.jp/ MANA-formation https://community.camp-fire.jp/projects/view/409762 <解説> ニュースでも大きく取り上げられるようになってきた、「違法残業」の問題。「うちは小さいし大丈夫だろう」「自分は関係ない…」なんて思っていませんか?もしかしたら、知らないうちに違法残業を行っているかもしれませんよ?…と最初から脅すような言葉を言ってしまいましたが、これは脅しでもなんでもなく、本当のことなのです。 冒頭のQで出てきた「36協定」。読みは「サブロク協定」と言います。これは労働基準法第36条の内容から来ている通称で、本当の名称は、「時間外・休日労働に関する協定届」です。その名の通り、時間外(早出や残業:以下「残業」)と休日出勤を行う場合には作成し、店舗のある地域の労働基準監督署に出す書類です。協定とあるのは、店舗側(使用者)と働くスタッフ(労働者)の間で協議して決める、という意味合いです。 まったく残業も休日出勤もないよ!という場合は出さなくても良いのですが、24時間営業、しかも何が起こるかわからない店舗での業務において、残業や休日出勤は一般的に避けて通れないもの。最近では1分単位での勤務時間計算も強く言われていることもあって、出しておくに越したことはありません。 法律で決まった労働時間は、1日8時間、1週40時間。および週1回の休日の原則を設けることが義務付けられています。それを超えて働くためにはこの36協定の作成と届出が必須です。たった1枚の紙ですが、その意味合いはとても重要なものとなっています。そのポイントは4つです。 ① 店舗ごとに出す必要がある この協定の効果が及ぶ範囲は一つの店舗のみです。そのため、複数店経営をされているところは、各店舗で出しているかの確認も必要です。本社機能が店舗と別にある場合は、本社分も届け出ることになります。 ② 残業時間の限度時間に注意 では、この協定届を労働基準監督署に出せば、際限なく残業などが出来るのか?その答えは「NO」です。協定に書かれた1日、1か月、1年間の残業時間、および休日労働の日数を超えて残業したり休日出勤をしたりした場合は、違法とみなされます。 ちなみに、1か月、1年間など、一定期間内で設定可能な残業時間には上限があります。例えば、「1ヶ月であれば45時間まで、1年間であれば360時間」と決められているのです。そのため、それらを超えた設定は原則できません。休日出勤についてもスタッフがしっかりと休める範囲内で、具体的に決めておく必要があります。 ③ どうしてもその上限を超えてしまう場合は… とはいえ、人の採用、定着化が難しい現在、1人のスタッフにかかる負荷が大きくなりがちです。そうなると、先に決めた時間以上の残業が発生してしまうこともあるでしょう。私の関与している店舗でも、月に60時間に達してしまう方がいらっしゃいます。こんなときの例外があります。それは、「特別条項」です。 特別条項とは、「臨時的に、限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、従来の限度時間を超える一定の時間を延長時間とすることができる」ものです。つまり、月45時間が通常の設定だとして、どうしても超えてしまう事情がある場合は月60時間まで残業ができる、などの取り決めを行うことができるのです。しかし、あくまで「特別の事情」であるため、その事情が発生するのは1年の半分を超えないこととされており、恒常的に月45時間や年360時間を超える状態が続く場合は特別な事情としてみなされません。なかなか人が集まらない!という店舗にとっては、苦しい部分ですが…。 ④ 一度届け出たら“永遠に有効”ではない 「...