『尾生の信』のカバーアート

尾生の信

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尾生の信

著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 野口 晃
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このコンテンツについて

代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。


尾生は橋の下に佇んで、さっきから女の来るのを待っている。
見上げると、高い石の橋欄には、蔦蘿が半ば這いかかって、時々その間を通りすぎる往来の人の白衣の裾が、鮮かな入日に照らされながら、悠々と風に吹かれて行く。が、女は未だに来ない。
尾生はそっと口笛を鳴しながら、気軽く橋の下の洲を見渡した。
橋の下の黄泥の洲は、二坪ばかりの広さを剰して、すぐに水と続いている。水際の蘆の間には、大方蟹の棲家であろう、いくつも円い穴があって、そこへ波が当る度に、たぶりと云うかすかな音が聞えた。が、女は未だに来ない。
尾生はやや待遠しそうに水際まで歩を移して、舟一艘通らない静な川筋を眺めまわした。
川筋には青い蘆が、隙間もなくひしひしと生えている。のみならずその蘆の間には、所々に川楊が、こんもりと円く茂っている。だからその間を縫う水の面も、川幅の割には広く見えない。ただ、帯ほどの澄んだ水が、雲母のような雲の影をたった一つ鍍金しながら、ひっそりと蘆の中にうねっている。が、女は未だに来ない……©2022 PanRolling
アジア 文芸小説

尾生の信に寄せられたリスナーの声

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思春期の少年みたいな思想

いつまでも来ない想い人の事で頭がいっぱいだと、そりゃ何もやる気なんて出なくなりますよね

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愚直に


その魂が宿っているから、何一つ意味のある仕事が出来ないという部分がいいなと思いました。何かを待っているという感覚の話が芥川龍之介の他作品にも出てきた気がするのですが、一体なんだったか……

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芥川龍之介らしさを感じる作品

中国の古典から発想を得た作品というのを知って聴いてみました。
同じフレーズが何度も出てくるのが印象的で、死を意識した感じがなんとも芥川らしいなぁ、と思いました。
落ち着いたナレーションがとても聴きやすく、短いのでまた聴いてみようと思います。

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