『母』のカバーアート

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著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 村上 めぐみ
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このコンテンツについて

代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。 才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。 そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。 次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。 その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。 芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。 また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。 部屋の隅に据えた姿見には、西洋風に壁を塗った、しかも日本風の畳がある、――上海特有の旅館の二階が、一部分はっきり映っている。 まずつきあたりに空色の壁、それから真新しい何畳かの畳、最後にこちらへ後を見せた、西洋髪の女が一人、――それが皆冷やかな光の中に、切ないほどはっきり映っている。 女はそこにさっきから、縫物か何かしているらしい。 もっとも後は向いたと云う条、地味な銘仙の羽織の肩には、崩れかかった前髪のはずれに、蒼白い横顔が少し見える。 勿論肉の薄い耳に、ほんのり光が透いたのも見える。 やや長めな揉み上げの毛が、かすかに耳の根をぼかしたのも見える。 この姿見のある部屋には、隣室の赤児の啼き声のほかに、何一つ沈黙を破るものはない。 未に降り止まない雨の音さえ、ここでは一層その沈黙に、単調な気もちを添えるだけである。 「あなた。」 そう云う何分かが過ぎ去った後、女は仕事を続けながら、突然、しかし覚束なさそうに、こう誰かへ声をかけた。 誰か、――部屋の中には女のほかにも、丹前を羽織った男が一人、ずっと離れた畳の上に、英字新聞をひろげたまま、長々と腹這いになっている。 が、その声が聞えないのか、男は手近の灰皿へ、巻煙草の灰を落したきり、新聞から眼さえ挙げようとしない……©2022 PanRolling アジア 文芸小説

母に寄せられたリスナーの声

総合評価
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どろどろ

想像していた話ではなかったけれど、リアルな感じで逆に良かったです。

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他人と比べる


比べることで感じる幸せが増えたり減ったりする感覚は誰にでもわかると思う。人と比べるなと言われてそうしようと思っても、頭の片隅にはこういう考えが存在する。

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いつの時代もつきまとう感情

わかっていても、人は他人と自分を比べてしまうものなんですね。

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よかったです

聞いてよかったと思っています。すぐに作品の世界に入り込めました。

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そういう話だったのか

芥川自身の母のことを書いているのかと思って聴いたら違った。
でも、なんというか、こんなふうに思っちゃいけないんだろうけど思っちゃう、みたいな表現がすごく人間ぽい。
しかも女性目線で書いているところに怖ささえ感じる。

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