『谷崎潤一郎「お艶殺し」』のカバーアート

谷崎潤一郎「お艶殺し」

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谷崎潤一郎「お艶殺し」

著者: 谷崎 潤一郎
ナレーター: 斉藤 範子
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このコンテンツについて

宵の五つの刻限に横町の肴屋の春五郎が酔っ払って跳び込んで来て、
どんぶりの底をちゃらちゃらさせながら、この間銀座の役人に貰ったばかりだと云う、
出来立てのほやほやの二朱銀を掴み出して、三月あまりも入れ質して置いた半纏やら羽織りやら
春着の衣装を出して行った後では、いつも忙しい駿河屋の店も、天気の悪いせいか一人として暖簾をくぐる客は見えない。

帳場格子に頬杖をついて頻りに草双紙を読み耽っていた新助は、消えかかったしかみ火鉢の灰を搔きながら、「ほんとうに寒い晩だなあ」と独り語のように云ったが、やがて片手を二三尺伸ばして、余念もなく居眠りをして居る丁稚の耳を引っ張った。

「庄どん、ちょいと起きねえか。霙の降るのにご苦労だが村松町の「翁庵まで一っ走り行って来てくれ、天ぷらそばを二つに、それからお前にも好きなものを奢ってやるぜ」

「そりゃ有難い。眼がさめて見たら己も大分腹が減って寒気がしている。旦那のお帰りにならないうちに、一番お前の御馳走になろうか」

庄太はこういってかいがいしく臀を端し折り、下駄箱の上に掛けてあった饅頭笠を外すや否や、降りしきる霙の中を勢いよく戸外へ駆け出した…。


谷崎潤一郎
1886年(明治19年)東京日本橋で生まれる。家業が傾き、住み込みで書生となり家庭教師をしながら学業に専念。1908年に東京帝国大学国文科に入学。1910年大貫晶川、小泉鉄らと第2次『新思潮』を創刊、『誕生』や『刺青』などを発表。1911年授業料未納のため退学。1915年 石川千代と結婚、1930年離婚。関東大震災後は関西へ移住し『吉野葛』『春琴抄』を発表。 1931年 古川丁未子と結婚、1934年離婚。1935年森田松子と結婚。1959年 右手に麻痺症状が出て、口述筆記にり執筆。1965年79歳で死去。
©2022 PanRolling
アジア 文芸小説

谷崎潤一郎「お艶殺し」に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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映画にもなった「お艶殺し」

江戸時代の駆け落ち物語。
お艶と新助は駆け落ちして、一時はしあわせであったが、結局お艶は裏切ってしまう。。。
臨場感のある読み方でしたので、聴いていて面白かったです。

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最後までワクワク

男が女に翻弄されるかと思いきや、殺されそうになったり、女が消えたり、と最後までワクワクしながら読める

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愛しあって逃げたまではいいが…

一つ歯車が狂うと、どんどん堕ちていく。どこかでもっとよい道はとれなかったのか・・・と思うが、他人事ならそれも面白い。語りの雰囲気がいいので、江戸の世界観に入り込みながら、ストーリー展開を楽しめました。

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おもしろい


テンポよく進むので、途中で止められない程に面白かった。
タイトルで結末をバラしているにもかかわらず、ドキドキした気持ちが続くのはすごい。

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紳助ーー!!

江戸時代版痴人の愛。
こっちのほうが後味悪いけど・・・。
ナレーターさんのお艶が好きです

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昔の作品とは思えない作り込みの凄さ

登場人物が増えたり、話が急転してもしっかりとまとまっていて最後まで楽しむ事が出来ました。

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谷崎潤一郎らしい作品

どんな経緯で「お艶殺し」に至るのか…
物語の展開にドキドキし、登場人物のセリフ含め、谷崎潤一郎の文体を耳で聴くのもドキドキしました。

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新どん殺し

朗読の域を超えた、講談のような舞台のような臨場感あるナレーションに惹き込まれました。
作品としての終幕は後味の悪さを超え少しばかりの小気味好ささえ感じる…秀逸です。

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馬鹿げた痴情のもつれ

惚れた腫れたの、ある意味滑稽な人物たちの様を感じました。

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