『谷崎潤一郎「人魚の嘆き」』のカバーアート

谷崎潤一郎「人魚の嘆き」

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谷崎潤一郎「人魚の嘆き」

著者: 谷崎 潤一郎
ナレーター: 斉藤範子
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このコンテンツについて

むかしむかし、まだ愛親覚羅氏の王朝が、六月の牡丹のように栄え輝いていた時分、支那の大都の南京に孟世燾(もうせいちゅう)という、うら若い貴公子が住んでいました。
この貴公子の父なる人は、一と頃北京の朝廷に仕えて、乾隆の帝のおん覚えめでたく、人の羨むような手柄を奢わす代わりには、人から擯斥されるような巨万の富をも拵えて、一人息子の世燾が幼い折に、この世を去ってしまいました。
すると間もなく、貴公子の母なる人も父の跡を追うたので、取り残された孤児の世燾は、自然と山のような金銀財宝を、独り占めにする身の上となったのです。

年が若くて、金があって、おまけに由緒ある家門の誉を受け継いだ彼は、もうそれだけでも充分仕合わせな人間でした。
然るに仕合わせはそれのみならず、世にも珍しい美貌と才智とがこの貴公子の顔と心とに恵まれていたのです。
彼の持っている夥しい貲材や秀麗な眉目や明敏な頭脳や、それ等の特徴の一つをとって比べても、南京中の青年のうちで、彼の仕合せに匹敵する者はいませんでした。
彼を相手に豪奢な遊びを競い合い、教坊の美妓を奪い合い、詩文の優劣を争う男は、誰も彼も悉く打ち負かされてしまいました。
そうして南京にありとあらゆる煙花城中の婦女の願いは、たとえ一と月半月なりと、あの美しい貴公子を自分の情人にすることでした。。。。

谷崎潤一郎

1886年(明治19年)東京日本橋で生まれる。家業が傾き、住み込みで書生となり家庭教師をしながら学業に専念。1908年に東京帝国大学国文科に入学。1910年大貫晶川、小泉鉄らと第2次『新思潮』を創刊、『誕生』や『刺青』などを発表。1911年授業料未納のため退学。1915年 石川千代と結婚、1930年離婚。関東大震災後は関西へ移住し『吉野葛』『春琴抄』を発表。
1931年 古川丁未子と結婚、1934年離婚。1935年森田松子と結婚。1959年 右手に麻痺症状が出て、口述筆記にり執筆。1965年79歳で死去。©2022 PanRolling
世界文学 歴史小説

谷崎潤一郎「人魚の嘆き」に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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世界観


人魚の出てくる作品で相思相愛っぽいのが珍しいなと思いました。でもやっぱりタイトルの通り、少し切ない終わり方が良かったです。

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ファンタジーと人間心理

御伽話の様な雰囲気がありつつも、細かい心理描写がしっかりと描かれており上手くバランスの取れたら文学作品に感じ取れました

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西洋の憧れ

人魚に恋したというより、西洋に憧れた。が合ってる気がしますね。にしてもいちいち描写が綺麗ですね。

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幻想的

谷崎潤一郎といえば耽美のようなイメージだったがこれはどちらかというと幻想的。大人の童話。

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イメージするのが楽しい

幻想的なストーリーで、頭の中で映像や絵が浮かんできて聴くのが楽しかったです。
耽美的な作品が多い中、素直な印象を受けました。

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言葉の宝石箱

好きなナレーターさんですが、今回は阿蘭陀人のセリフの読み方に違和感を感じました。作品としてはまさに言葉の宝石箱で、難解な熟語ではありますが異国情緒と相まって、主人公の耽美的、享楽的な生き方を余す所なく表現されていると思います。
その後の展開は読者に委ねたのでしょうが、谷崎先生の作品としての続きを読みたいです。

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ナレーションのくどさ

谷崎潤一郎の小説には西洋人がよく出てくる。それは彼の西洋信仰にも似たものだと思う。しかし、このナレーションは西洋人の喋り方をバカにしているのかと思うほどくどく、わざとらしく、谷崎潤一郎の作品に現れる西洋人の良さを全く表現していない。失望した。小説は傑作だがナレーションで台無し。

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