『運』のカバーアート

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著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 西村 健志
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このコンテンツについて

代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。


目のあらい簾が、入口にぶらさげてあるので、往来の容子は仕事場にいても、よく見えた。清水へ通う往来は、さっきから、人通りが絶えない。金鼓をかけた法師が通る。壺装束をした女が通る。その後からは、めずらしく、黄牛に曳かせた網代車が通った。それが皆、疎な蒲の簾の目を、右からも左からも、来たかと思うと、通りぬけてしまう。その中で変らないのは、午後の日が暖かに春を炙っている、狭い往来の土の色ばかりである。
その人の往来を、仕事場の中から、何と云う事もなく眺めていた、一人の青侍が、この時、ふと思いついたように、主の陶器師へ声をかけた。
「不相変、観音様へ参詣する人が多いようだね。」
「左様でございます。」
陶器師は、仕事に気をとられていたせいか、少し迷惑そうに、こう答えた。が、これは眼の小さい、鼻の上を向いた、どこかひょうきんな所のある老人で、顔つきにも容子にも、悪気らしいものは、微塵もない。着ているのは、麻の帷子であろう。それに萎えた揉烏帽子をかけたのが、この頃評判の高い鳥羽僧正の絵巻の中の人物を見るようである……©2022 PanRolling
アジア 文芸小説

運に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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状況ひとつで全然違う

色んな考え方が出来ると思います。
そしてその考えに正解も不正解もない。

むしろそういう目線を持って欲しいという作品にも思えます。

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うーん、なるほど

「運」と言うのは、人それぞれで、根本的に良いも悪いのも無いのかもしれませんね。

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よかったです

芥川龍之介の作品の作品を入り込むことができました。聞いてよかったです。

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表裏一体

幸と不幸は表裏一体、光には必ず影が存在する。
メリットだけではなく、そこにはデメリットもセットだということがよくわかる作品でした。
ナレーションも作品の雰囲気に合っていて良かったです。

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ありがとうございました。

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幸福とは


何かを得る代わりに、何かを失う、対価を支払う。
それでも良いと考えるか、そんなのはまっぴらだと考えるかは人それぞれで、幸せの定義も感じ方も違って面白いなと思いました。

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