• ボイスドラマ「朝日の中で微笑んで」

  • 2025/04/13
  • 再生時間: 19 分
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ボイスドラマ「朝日の中で微笑んで」

  • サマリー

  • 東京での仕事と子育ての狭間で、限界を感じたひとりの母。偶然手にした一枚の手紙と、一枚の写真に導かれ、彼女は娘とともに飛騨高山・朝日町へと旅立ちます。たどり着いたのは、枝垂れ桜の咲く静かな山里。心と身体をすり減らした都会の日々とは真逆の、ゆるやかであたたかな暮らし。そして、声を出すことができなかった幼い娘が、初めて言葉を発したそのとき——彼女の人生は、もう一度、優しく動き始めます。本作は、飛騨高山を舞台にした地域発信プロジェクト『ヒダテン!Hit’s Me Up!』のボイスドラマ/小説シリーズの一編として、母娘の再生と、薬膳という知恵の物語をお届けします。ヒダテン!朝日よもぎの誕生物語です!(CV:蓬坂えりか)【ストーリー】<『朝日の中で微笑んで』>【ペルソナ】・母:かえで(28歳)=東京の広告会社で働くマーケティングディレクター。子育て中・娘:よもぎ(2歳)=2023年生まれ。生まれつき病弱でアレルギー体質。言葉を話せない【資料/高山市朝日町】https://www.hidaasahi.jp/<よもぎのモノローグとセリフで進行>[シーン1:「大廣古池前」バス停留所】◾️SE:夕暮れのイメージ(巣へ帰る鳥の群れ)どうしてこんなとこまで来てしまったんだろう・・・寒い。幼い娘は私の左足にぎゅっと抱きつく。そっか。私たち、普段着だ。私は薄手のニットにスキニーデニム。ジャケットも春用だから冷たい空気を遮断できない。いわゆるバリキャリスタイル。マザーズリュックだけ浮いてるわ。娘も薄着のまま連れ出しちゃった。ピンクのニット帽に小さなワンピース。子供用リュックが震えている。かわいそうなこと、したな。また母親失格・・ってか。私は、渋谷の広告会社で働くマーケター。得意分野はSNSマーケティングとインフルエンサーマーケティング。Z世代に向けた企画を毎日考えている。ま、私もギリ、Zなんだけどね。で、同時に子育て中。仕事と子育ての両立。・・・って、言うほど簡単じゃない。時間と段取りとストレスと睡眠不足に押しつぶされそうになって、いまココ。午前中、会社を無断欠勤して、新幹線に飛び乗った。小さな封筒をポッケに入れて。それは、大学時代の友達からの手紙。8年前。友達は大学を辞めて実家へ戻っていった。理由は、詳しく聞けなかった。しばらく音沙汰なかったけど昨日、8年ぶりに手紙をもらったんだ。でもなんで、手紙?メールとかでいいじゃない。あ、だめだ。プライベートのメールなんて、全然開いてもないわ。それに、手紙じゃなかったら、私ここに来てないもの。封筒の中には小さなメモ紙が1枚。綺麗な殴り書きで「いいところだから。遊びにこない?」メモは、プリントアウトした写真にクリップ止めしてある。ライトアップされた夜桜の写真。枝垂れ桜かしら。それが手前の水面(みなも)に映って、ゾクっとするほど神秘的。写真の裏に住所が書いてあったからふらっと来てしまった。高山市朝日町浅井。まさか東京からこんなに遠いなんて。寒そうにしてる娘に、私のジャケットをかけて抱っこする。う〜、さむっ。娘は今年で3歳。でもまだ言葉を喋れない。お医者さんは、多分精神的なものだろうって。脳の発達にも異常は見られないから心配しないように。あせらないこと。・・・って言われてもねえ。しかも、アレルギー疾患もあるし、よくお熱も出すし、心配がいっぱい。母としていつも一緒にいてあげなきゃいけないのに。ああ、マーケターって仕事のせい?いや違う、やっぱり自分のせいだ。今日もまた脳内で負のループが回り始める。こんな私なのに、傍目だと、呑気な親子旅行に見えるのかなあ。◾️SE:バスが発車していく午後5時45分。バスは定刻通りに「大廣古池前」に到着した。暮れなずむ時間帯。それでも、客は私たちだけじゃない。女子大生のグループかしら。それも1組だけじゃない。へえ〜、つまりこの桜、彼女たちをつき動かすほどの”映えスポット”ってことね。ネットで調べてわかったんだけど、朝日町って、別名「枝垂れ桜の郷」って言われてるんだ。町のあちこちに枝垂れ桜。淡いピンクに包まれる農村の町...
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あらすじ・解説

東京での仕事と子育ての狭間で、限界を感じたひとりの母。偶然手にした一枚の手紙と、一枚の写真に導かれ、彼女は娘とともに飛騨高山・朝日町へと旅立ちます。たどり着いたのは、枝垂れ桜の咲く静かな山里。心と身体をすり減らした都会の日々とは真逆の、ゆるやかであたたかな暮らし。そして、声を出すことができなかった幼い娘が、初めて言葉を発したそのとき——彼女の人生は、もう一度、優しく動き始めます。本作は、飛騨高山を舞台にした地域発信プロジェクト『ヒダテン!Hit’s Me Up!』のボイスドラマ/小説シリーズの一編として、母娘の再生と、薬膳という知恵の物語をお届けします。ヒダテン!朝日よもぎの誕生物語です!(CV:蓬坂えりか)【ストーリー】<『朝日の中で微笑んで』>【ペルソナ】・母:かえで(28歳)=東京の広告会社で働くマーケティングディレクター。子育て中・娘:よもぎ(2歳)=2023年生まれ。生まれつき病弱でアレルギー体質。言葉を話せない【資料/高山市朝日町】https://www.hidaasahi.jp/<よもぎのモノローグとセリフで進行>[シーン1:「大廣古池前」バス停留所】◾️SE:夕暮れのイメージ(巣へ帰る鳥の群れ)どうしてこんなとこまで来てしまったんだろう・・・寒い。幼い娘は私の左足にぎゅっと抱きつく。そっか。私たち、普段着だ。私は薄手のニットにスキニーデニム。ジャケットも春用だから冷たい空気を遮断できない。いわゆるバリキャリスタイル。マザーズリュックだけ浮いてるわ。娘も薄着のまま連れ出しちゃった。ピンクのニット帽に小さなワンピース。子供用リュックが震えている。かわいそうなこと、したな。また母親失格・・ってか。私は、渋谷の広告会社で働くマーケター。得意分野はSNSマーケティングとインフルエンサーマーケティング。Z世代に向けた企画を毎日考えている。ま、私もギリ、Zなんだけどね。で、同時に子育て中。仕事と子育ての両立。・・・って、言うほど簡単じゃない。時間と段取りとストレスと睡眠不足に押しつぶされそうになって、いまココ。午前中、会社を無断欠勤して、新幹線に飛び乗った。小さな封筒をポッケに入れて。それは、大学時代の友達からの手紙。8年前。友達は大学を辞めて実家へ戻っていった。理由は、詳しく聞けなかった。しばらく音沙汰なかったけど昨日、8年ぶりに手紙をもらったんだ。でもなんで、手紙?メールとかでいいじゃない。あ、だめだ。プライベートのメールなんて、全然開いてもないわ。それに、手紙じゃなかったら、私ここに来てないもの。封筒の中には小さなメモ紙が1枚。綺麗な殴り書きで「いいところだから。遊びにこない?」メモは、プリントアウトした写真にクリップ止めしてある。ライトアップされた夜桜の写真。枝垂れ桜かしら。それが手前の水面(みなも)に映って、ゾクっとするほど神秘的。写真の裏に住所が書いてあったからふらっと来てしまった。高山市朝日町浅井。まさか東京からこんなに遠いなんて。寒そうにしてる娘に、私のジャケットをかけて抱っこする。う〜、さむっ。娘は今年で3歳。でもまだ言葉を喋れない。お医者さんは、多分精神的なものだろうって。脳の発達にも異常は見られないから心配しないように。あせらないこと。・・・って言われてもねえ。しかも、アレルギー疾患もあるし、よくお熱も出すし、心配がいっぱい。母としていつも一緒にいてあげなきゃいけないのに。ああ、マーケターって仕事のせい?いや違う、やっぱり自分のせいだ。今日もまた脳内で負のループが回り始める。こんな私なのに、傍目だと、呑気な親子旅行に見えるのかなあ。◾️SE:バスが発車していく午後5時45分。バスは定刻通りに「大廣古池前」に到着した。暮れなずむ時間帯。それでも、客は私たちだけじゃない。女子大生のグループかしら。それも1組だけじゃない。へえ〜、つまりこの桜、彼女たちをつき動かすほどの”映えスポット”ってことね。ネットで調べてわかったんだけど、朝日町って、別名「枝垂れ桜の郷」って言われてるんだ。町のあちこちに枝垂れ桜。淡いピンクに包まれる農村の町...

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