第1章 企業活動 組織設計 企業活動を推進していくためには、事業が抱えている課題に対する解決策だけの考案ではなく、事業の基本理念やビジョンを包括的にとらえられる組織を設計することが重要です。ここでは組織設計について解説していきます。 組織形態 企業活動は、数十人、数百人、数千人の従業員が組織一体となって行われています。組織の構成方法にも複数の形態があります。組織の構築で重要なことは、企業活動を効率的に行えることです。 ●事業部制組織 企業の事業ごとに組織を分割し、事業部ごとに独立的に業務を行います。つまり、企業の中に自己完結的な事業部を設置する組織形態です。各事業部は、製品の種類や担当地域、顧客セグメントなどの単位で分割されます。利益責任の所在が各事業部にあるのが特徴です。 ◆カンパニ制組織:事業部制組織の各事業部を分社化して、事業部制組織以上の権限を委譲する組織形態。カンパニ(Company:会社)という言葉が使われているが、あくまで社内組織であるため子会社化するわけではない。 ●職能別組織 職能・専門性を軸として組織を分割し、個人個人の専門的なスキルを最大限に発揮させる組織形態です。また、各部門で専門業務を繰り返し遂行することで、知識と経験が蓄えられるため、より業務の効率化やパフォーマンス向上を図ることができます。 ●プロジェクト組織 複数のメンバーが必要な有期性のある業務ごとに組織メンバーを配置し、各チームごとに業務を行う組織体制です。プロジェクトの目的が達成された時点でチームは離散します。 ●マトリクス組織 事業部制、職能別、プロジェクトなどの組織構造をマトリクス状にして、それぞれのメリットを享受しながら業務を行う組織形態です。 ◆社内ベンチャ組織 社内で新規事業ができる組織形態のことです。社内組織ですが、利益責任と大きな権限が委譲されます。 ◆ネットワーク組織 組織を構成する人員がそれぞれ対等な関係性を保ち自律的な活動をしている組織です。組織内の部門を横断して関わり合う特徴があります。 定款(組織):会社の基本となる職制を定めたもの OJT:On the Job Trainingの略語です。日本語の職場内訓練と同義で、学習したスキルや技術を現場で活用しながら体系的に教育する手法です。 Off JT:実際の職場ではない場所で行う講習や勉強会をOff JTといいます。 ダイバーシティ ダイバーシティとは、性別、年齢、国籍、経験など様々な個性を指し、多様性と訳されます。グローバリゼーションが進行する中で、異なる文化や生活背景などを理解し合いながら働く上で必要な概念として普及した言葉です。 ビジネス上でも、様々なバックグランドを持った人材を集める重要性が認知されています。経営上の企業の多様性を管理することをダイバシティマネジメントといいます。 テレワーク・リモートワーク 在宅勤務モバイルワークサテライトオフィス勤務 ◆在宅勤務 自宅で勤務する形態を、在宅勤務と言う。現代社会では、企業側のオペレーション効率化と、従業員のライフワークバランスの向上を目的として、在宅勤務が推進されている。世界的感染症COVID-19の感染拡大により、日本でもテレワークが推進され、標準化されつつある。 ◆モバイルワーク 場所や時間にとらわれずに、労働者が自律的に業務を推進する形態のこと。在宅勤務は、モバイルワークの1つ。 ◆サテライトオフィス勤務 企業のオフィスとは地理的に離れたオフィスで業務を行うこと。会社が本社とは別で所有しているオフィスやレンタルオフィスを利用できるため、従業員は自らテレワーク環境を用意する必要がないので利点です。 経営上の困難:テレワーク/リモートワークが日本で推進される一方で、従業員の労働管理が1つの課題となっている。特に稼働率や労働生産性が挙げられる。
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