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二粒の飴
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あらすじ・解説
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
貞代の家は重松という武家の家であり、父・重松伊十郎は若くして、同役数名の責を負って切腹し、重松の家は追放の処分を受けていた。まだ貞代と弟の亀之助が幼い頃のことだった。母は祖父の家に身を寄せることを断り、二人を連れて江戸へ上った。
貧しい長屋を借りた貞世の母は二人に対して、武士の心を忘れぬようにと常々言って聞かせた。
こういう裏町に住んでも、悪い遊びやぶしつけな言葉には馴れないよう、亡くなった父上の子として恥ずかしくない、正しい人間にならなければいけない――
母は朝早から、夜の遅くまで賃仕事をしていた。冬は自身が凍えるのもかまわず、夏はうだるような暑さに耐えて懸命に働いた。自身は食べられずとも、貞代と亀之助には食べさせ、自身は白湯を啜っていた。
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<あらすじ>
一人の若侍が練り馬場と呼ばれる草原へ入って来た。しかし、七つの鐘を聞いて起きてきたはずの彼であったが、間もなく七つの鐘が鳴り、刻を間違えたことを悟った。約束の六つ半まで三時間あるが、辺りは酷く寒い。川岸をしばし歩いた彼は、橋の下に焚火が燃えていたのを目にした。近付いて見ると、「夫婦乞食」と呼ばれている老夫婦が鍋を掛けており、「よろしかったら、こちらへ来ておあたりになりませんか」と声を掛けられた。
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