『河童』のカバーアート

河童

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河童

著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 斉藤 範子
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このコンテンツについて

『河童』(かっぱ)は、芥川龍之介が1927年(昭和2年)に総合雑誌『改造』誌上に
発表した小説であり、当時の日本社会や人間社会を痛烈に風刺、批判した小説です。
芥川の晩年の代表作のひとつで、また、芥川の命日7月24日が「河童忌」と呼ばれる理由にもなりました。

これはある精神病院の患者、――第二十三号がだれにでもしゃべる話である。

彼はもう三十を越しているであろう。が、一見したところはいかにも若々しい狂人である。
彼の半生の経験は、――いや、そんなことはどうでもよい。

 彼はただじっと両膝をかかえ、時々窓の外へ目をやりながら、
(鉄格子をはめた窓の外には枯れ葉さえ見えない樫の木が一本、雪曇りの空に枝を張っていた。)
 院長のS博士や僕を相手に長々とこの話をしゃべりつづけた。
もっとも身ぶりはしなかったわけではない。
彼はたとえば「驚いた」と言う時には急に顔をのけぞらせたりした。
 僕はこういう彼の話をかなり正確に写したつもりである。

もしまただれか僕の筆記に飽き足りない人があるとすれば、東京市外ララ村のS精神病院を尋ねてみるがよい。
 年よりも若い第二十三号はまず丁寧に頭を下げ、蒲団のない椅子を指さすであろう。
それから憂鬱な微笑を浮かべ、静かにこの話を繰り返すであろう。

 最後に、――僕はこの話を終わった時の彼の顔色を覚えている。彼は最後に身を起こすが早いか、
たちまち拳骨をふりまわしながら、だれにでもこう怒鳴りつけるであろう。

――「出て行け! この悪党めが! 貴様も莫迦な、嫉妬深い、猥褻な、ずうずうしい、
うぬぼれきった、残酷な、虫のいい動物なんだろう。出ていけ! この悪党めが!」


芥川龍之介
1892年〈明治25年〉3月1日 - 1927年〈昭和2年〉7月24日) 代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、
文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、
たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。©2022 PanRolling
アジア 文芸小説

河童に寄せられたリスナーの声

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是非聴いてみて


この不思議な話が本当なのか患者の妄想なのかと色々考えられる部分が面白い。

子供に生まれたいか聞く所や、解雇されたら肉にして食べられてしまうという風刺的な描写が好きでした。

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良い意味で騙された作品

ナレーターさんの柔らかい語りの雰囲気もあってか、最初は童話の様なおもしろおかしい世界観を想像していましたが、話が進むにつれしっかりと風刺的な描写などを描いており聴いていて最後まで飽きる事なく楽しめた作品でした。

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河童の国、メルヘンでは終わらない…

河童の国に迷い込むという不思議の国のアリスのような?設定ですが、、、
人間世界で起きていることを、河童の世界の物事に置き換えています。
芥川竜之介の社会批判を垣間見ることのできる作品だと思います。
聴きやすいナレータさんでした。

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和製ガリバー旅行記

ガリバー旅行記もそうですが、不思議な国に迷い込んだ男の話ですが、実は社会の有様を風刺しているというのが面白い。男は本当に河童の国へ行ったのか、それとも狂人の妄想なのか・・・というところは、芥川らしいが。

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世界に浸りました

芥川龍之介の作品の世界に、すんなり浸ることができました。聞いてよかったです。

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興味深い河童の社会

河童の社会がどういったものかまでは想像した事がなかったので、フィクションであるにしてもそこを関心深く聴けました。

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芥川風・不思議の国のアリス

メルヘンチックでありリアルもある。健常者が異常者だ、とでも言いたいのか…芥川スゲェの一言につきますね。

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面白い世界観

気づけば、河童の世界に自分自身も入り込んで聴いていました。
宗教の話とか、異世界でありながら現実的な描写がとても面白くて、芥川の魅力を改めて感じることができました。

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