『地獄変』のカバーアート

地獄変

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地獄変

著者: 芥川 龍之介
ナレーター: 遠藤 みやこ
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このコンテンツについて

『地獄変』(じごくへん)は、説話集『宇治拾遺物語』の「絵仏師良秀」を基にし、
1918年(大正7年)に芥川が独自に創作した作品です。
主人公である良秀の「芸術の完成のためにはいかなる犠牲も厭わない」姿勢が、芥川自身の芸術至上主義と絡めて論じられることが多く、発表当時から高い評価を得ました。

堀川の大殿様のやうな方は、これまでは固より、後の世には恐らく二人とはいらつしやいますまい。
噂に聞きますと、あの方の御誕生になる前には、
大威徳明王の御姿が御母君の夢枕にお立ちになつたとか申す事でございますが、兎に角御生れつきから、
並々の人間とは御違ひになつてゐたやうでございます。
でございますから、あの方の為さいました事には、一つとして私どもの意表に出てゐないものはございません。
早い話が堀川のお邸の御規模を拝見致しましても、壮大と申しませうか、豪放と申しませうか、
到底私どもの凡慮には及ばない、思ひ切つた所があるやうでございます。
中にはまた、そこを色々とあげつらつて大殿様の御性行を始皇帝や煬帝に比べるものもございますが、
それは諺に云ふ群盲の象を撫でるやうなものでもございませうか。
あの方の御思召は、決してそのやうに御自分ばかり、栄耀栄華をなさらうと申すのではございません。
それよりはもつと下々の事まで御考へになる、云はば天下と共に楽しむとでも申しさうな、
大腹中の御器量がございました

芥川 龍之介
(1892年〈明治25年〉3月1日 -1927年〈昭和2年〉7月24日)
代々江戸城の茶室を管理し、将軍や大名に茶の接待をする「奥坊主」と呼ばれる職を務めた家柄に育ち、文芸や芸事への興味・関心を早くから持っていた芥川龍之介。
才気にあふれ、世話好きな性格は周りの人々を惹きつけ、たくさん悩みながらもよく笑い、よくしゃべる人だったそうです。
そんな芥川は、東京帝国大学に入学した翌年、高校の同級だった久米正雄らと共に第三次「新思潮」を創刊し、小説や翻訳を発表しました。
次いで第四次「新思潮」を創刊の際に掲載した『鼻』が夏目漱石に認められ、文壇に登ることとなりました。
その後新聞社に入社し、記者としてではなく専業作家として意欲的に執筆活動を続けました。
芥川は、漱石や森鴎外から文体や表現の影響を受けたり、キリシタンもの、江戸を舞台にしたものなど題材に応じて文体を変えたりと、意識的な小説の書き方をしていました。
また、鈴木三重吉により創刊された児童雑誌「赤い鳥」には、初となる童話作品『蜘蛛の糸』を発表、その後も同雑誌を中心に童話作品を相次いで発表し、幅広く作品を世に残しています。©2022 PanRolling
アジア 文芸小説

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芸術至上主義

芥川龍之介や太宰治の根底にある思想が芸術至上主義。何においても芸術を優先させる。それは狂気にもなる。普通の人間には共感できない精神だが、きっと芥川の中にもこの絵師と共感できる部分もあったのだろうな。芸術へのこの執着はまったくわからないというわけでもないから、それがまた恐さを感じる。

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どうしてそうなる


良秀が見せた恐ろしい程の画家としての執着は凄まじいが、大殿様が行ったこともまた狂気的であり信じられない気持ちになる。

結果出来上がった屏風が素晴らしいものであれ、良秀の最後にはなんとも言えない寂寥感が感じられた。

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聴き取りやすい語り口が良い

声を聴きながら、場面を想像しながら、綴られる日本語の美しさを改めて認識できたような気がします。
聴き取りやすい語り口だったので、きちんと耳を傾けてゆっくりお話の世界を楽しむことができました。

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思わず腕組みをしたくなる作品

狂気的な描写がかなりあり、まるで聴き手が試されてるような作品でした。
そこがこの作品の魅力でもあり、良秀をはじめとした登場人物達の歪さが、現代人の自分には刺激的で面白くうつりました。

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ブレない良秀

宇治拾遺物語では芸術バカだったのが、こちらではカッコイイ。絵仏師良秀を知ってる人は是非聞いて欲しい。

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よかったです

聞けてよかったです。芥川龍之介の作品の独特の世界を堪能できました。

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愛娘を焼かれてまで完成した屏風

権力には結局勝てないのか…
大殿は凄腕の絵師 良秀を気に入っているが、それは自分に従っているから。
大殿は良秀の娘を気に入っているが、良秀はなかなか渡さない。
それに怒って良秀の娘を良秀の前で焼き殺す。
権力があればなんでもやっていいのか。
平安時代を舞台にした物語でも、今の世の中にも理不尽なことが多い…

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「昔話」のよう

題材が題材にせよ源氏物語などの昔の文学というわけではないのに、ナレーションにより歴史番組を見ているような感覚になって、それが不思議な感じがして面白かったです。

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