『女坑主』のカバーアート

女坑主

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女坑主

著者: 夢野 久作
ナレーター: 斉藤 範子
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このコンテンツについて

<内容紹介>
「ホホホ。つまりエチオピアへお出でになりたいからダイナマイトをくれって仰言おっしゃるん ですね。お易やすい御用ですわ。ホホホ」

新張炭坑の女坑主、新張眉香子は青年の申し出に軽く朗らかに笑った。初期には銀幕スター。そして、筑豊の炭坑王と呼ばれた新張琢磨の第二号に出世。琢磨が休止すると炭坑王を引き継ぐ形となった。
目の前の青年の無茶な申し出さえも即座に引きつけるしたたか者だ。四十には見えない派手な化粧や身なり、そして、黒い大きな瞳に見つめられた青年は、その魅力に恍惚となってしまった。

青年は、みすぼらしい茶色の背広に、不調和な赤ネクタイ。しかし、新劇の二枚目のように目鼻立ちのいい青年だった。その上、びっくりするくらい純真で子供らしい格好に見えた。

青年はダイナマイトを手に入れて仲間を連れてエチオピアへ向かうと言う。日本のためにイギリスの軍艦を爆破し、木っ端微塵になってしまおうという考えだ。

そんな、青年の雄弁を聞いていた眉香子は非常に感動した。その意気込みをかって、すぐにダイナマイトの手配をした眉香子。
青年が出発するまでに時間があるとみた眉香子は青年を誘惑する。しばらくすると、部屋の隅から優雅なオルゴールの音が聞こえてきた。すると、部屋の中に目も眩むほどの光が差し込んできたのだ。
青年は眉香子の中でガタガタと震えだした。恐怖に目は丸くなり窓の外の光を見つめたまま。青年は眉香子を押し除けてスッポリと立ち上がった。
眉香子が声をかけても一言も返事をしない。そのまま青年は、応接間の重たい扉を向こう側からバタンと大きな音を立てて閉めた。すると眉香子の笑い顔が急にスイッチを切り替えたように冷笑に変わった。

事態は思わぬ方向へと進んで行く。

<夢野久作(ゆめの・きゅうさく)>
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。

©2018 Pan Rolling
アジア 文芸小説

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ナレーション
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ストーリー
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