• エピソード87: 腹部コンパートメント症候群

  • 2024/10/05
  • 再生時間: 20 分
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エピソード87: 腹部コンパートメント症候群

  • サマリー

  • 118C-68


    次の文を読み、66~68の問いに答えよ。

    61歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。

    現病歴:乗用車で走行中に塀に衝突し腹部を強打し動けない状態だった。シートベルトを装着しておりエアバッグが作動していた。目撃者が救急車を要請した。

    既往歴:虚血性心疾患で抗血小板薬を服用している。

    生活歴:飲酒は機会飲酒。

    家族歴:父と兄が高血圧症で治療中である。

    現 症:意識は清明。身長162cm、体重54kg。体温37.0℃。心拍数112/分、整。血圧80/44mmHg。呼吸数26/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。皮膚は四肢に冷汗と湿潤を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨満しており、肝・脾を触知しない。腸雑音は減弱している。

    検査所見:血液所見:赤血球410万、Hb 10.1g/dL、Ht 40%、白血球10,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板32万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 65U/L、ALT 34U/L、LD 177U/L(基準124~222)、ALP 55U/L(基準38~113)、γ-GT 32U/L(基準13~64)、アミラーゼ130U/L(基準44~132)、CK 382U/L(基準59~248)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸6.2mg/dL、血糖228mg/dL、HbA1c 5.8%(基準4.9~6.0)、Na 142mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。

    その後、頭頸部単純CTでは異常を認めなかった。胸腹部造影CTでは脾臓損傷、脾臓内および周囲の造影剤血管外漏出像、腹腔内遊離ガス及び腹腔内液体貯留を認めた。気管挿管を行い、緊急手術を予定した。

    小腸、腸間膜および脾臓の損傷に対して小腸切除と脾臓摘出を行った。小腸は浮腫が認められたが、閉腹は可能であった。ICU入室後、心拍数68/分、血圧132/76mmHgまで改善した。動脈血ガス分析(調節呼吸、FIO2 0.3)はpH 7.40、PaCO2 35Torr、PaO2 180Torr、HCO3- 21mEq/L、BE-6mEq/Lであった。

    この段階で腹部コンパートメント症候群を評価するために腹腔内圧をモニターする際、最も有用な測定部位はどれか。


    a 胸 腔

    b 食 道

    c 頭蓋内

    d 動脈内

    e 膀 胱

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あらすじ・解説

118C-68


次の文を読み、66~68の問いに答えよ。

61歳の男性。交通外傷のため救急車で搬入された。

現病歴:乗用車で走行中に塀に衝突し腹部を強打し動けない状態だった。シートベルトを装着しておりエアバッグが作動していた。目撃者が救急車を要請した。

既往歴:虚血性心疾患で抗血小板薬を服用している。

生活歴:飲酒は機会飲酒。

家族歴:父と兄が高血圧症で治療中である。

現 症:意識は清明。身長162cm、体重54kg。体温37.0℃。心拍数112/分、整。血圧80/44mmHg。呼吸数26/分。SpO2 98%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。皮膚は四肢に冷汗と湿潤を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨満しており、肝・脾を触知しない。腸雑音は減弱している。

検査所見:血液所見:赤血球410万、Hb 10.1g/dL、Ht 40%、白血球10,300(好中球75%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球17%)、血小板32万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 65U/L、ALT 34U/L、LD 177U/L(基準124~222)、ALP 55U/L(基準38~113)、γ-GT 32U/L(基準13~64)、アミラーゼ130U/L(基準44~132)、CK 382U/L(基準59~248)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸6.2mg/dL、血糖228mg/dL、HbA1c 5.8%(基準4.9~6.0)、Na 142mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。

その後、頭頸部単純CTでは異常を認めなかった。胸腹部造影CTでは脾臓損傷、脾臓内および周囲の造影剤血管外漏出像、腹腔内遊離ガス及び腹腔内液体貯留を認めた。気管挿管を行い、緊急手術を予定した。

小腸、腸間膜および脾臓の損傷に対して小腸切除と脾臓摘出を行った。小腸は浮腫が認められたが、閉腹は可能であった。ICU入室後、心拍数68/分、血圧132/76mmHgまで改善した。動脈血ガス分析(調節呼吸、FIO2 0.3)はpH 7.40、PaCO2 35Torr、PaO2 180Torr、HCO3- 21mEq/L、BE-6mEq/Lであった。

この段階で腹部コンパートメント症候群を評価するために腹腔内圧をモニターする際、最も有用な測定部位はどれか。


a 胸 腔

b 食 道

c 頭蓋内

d 動脈内

e 膀 胱

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