• #56 アルフレッド・P・スローン Jr. ④:テールフィンは未来の翼だった!ハーリー・アールと大恐慌から黄金時代、そして未来への遺産
    2025/06/09

    これまで、経営の天才スローン、発明王ケタリングの活躍を見てきましたが、今回はGMの黄金時代を美しく、そして力強く彩ったもう一人の巨人、デザインの魔術師ハーリー・アールの物語を中心に、激動の時代を振り返ります。

    1929年の世界恐慌、そして人類が経験した最大の戦争、第二次世界大戦…。GMは、創業以来の、そして国家的な危機に直面します。人々が夢や希望を失いかけた、そんな暗い時代だからこそ、ハーリー・アールが率いるデザインチームが生み出す「夢のクルマ」は、特別な輝きを放ちました。移動式モーターショー「モトラマ」で発表される、息をのむほど美しい未来のコンセプトカー。それは、GMの揺るぎない技術力と、「戦争が終われば、こんなにも素晴らしい生活が待っている」という、未来への約束の象徴でした。

    そして戦後、アメリカが未曾有の繁栄を謳歌する「黄金の50年代」を迎えると、ハーレー・アールのデザインもその頂点を極めます。誰もが憧れた、大きく、美しく、そして華やかな「テールフィン」を持つキャデラックやシボレー。それは単なる自動車のデザインではなく、当時のアメリカ人の自信と楽観主義、そして誰もが手を伸ばせば掴めるはずの「アメリカンドリーム」そのものを乗せて、ハイウェイを駆け抜けていたのかもしれません。

    この完結編では、ハーレー・アールのデザイン革命が、いかにしてスローンの緻密な経営戦略と融合し、GMを史上最強の企業へと押し上げたのか、その輝かしい軌跡を辿ります。そして、一つの偉大な時代を築き上げたアルフレッド・スローンの退任…。彼らが現代の私たちに残してくれた、優れたマネジメント、尽きることのないイノベーション、そして「人々に夢を売る」ことの本当の意味とは何だったのか、を考えていきます。

    参考書籍

    • 「⁠⁠⁠GMとともに⁠⁠⁠」アルフレッド・P・スローン J(著) 有賀優子(訳)
    • 「⁠⁠⁠マネジメントの世紀1901−2000⁠⁠⁠」スチュアート・クレイナー(著) 嶋口 充輝 (翻訳), 黒岩 健一郎 (翻訳), 岸本 義之 (翻訳)


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    ⁠⁠⁠https://www.valuebooks.jp/shelf-items/folder/84676b46a574170


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  • #55 アルフレッド・P・スローン Jr. ③:発明王チャールズ・ケタリング、20世紀の「当たり前」を作った男
    2025/06/02

    今回はGMのもう一つの強力なエンジン、天才発明家チャールズ・“ボス”・ケタリングにスポットライトを当てます! 彼がいなければ、20世紀の私たちの生活は、全く違ったものになっていたかもしれません。

    「キーをひねればエンジンがかかる」…今では当たり前の自動車のセルモーター。これを実用化し、自動車を一気に身近なものへと変えたのが、若き日のケタリングでした。

    当時の常識「クルマは黒が当たり前」を覆し、GM車をカラフルで魅力的に変身させた奇跡の速乾性塗料「デュコ」家庭の冷蔵庫やエアコンを安全で便利なものへと進化させた冷媒「フロンガス」。そして、アメリカ大陸を駆け抜ける鉄道の風景を一変させ、高速化と効率化をもたらした高性能「ディーゼルエンジン」と、伝説の列車「パイオニア・ゼファー号」のドラマチックな物語。

    しかし、そんな「発明王」にも、社運を賭けた「空冷エンジン」開発での大きな、大きな挫折がありました。その壮絶な失敗から彼は何を学び、GM、そしてスローン社長はどう対応したのか? 「999回失敗しても、1回成功すれば良いんだ」という彼の不屈の精神と、「人々の役に立つこと」を何よりも大切にした発明哲学の源泉とは?

    アルフレッド・スローンの絶大な信頼という翼を得て、チャールズ・ケタリングがいかにしてGMの技術的優位性を不動のものとし、次々と「未来の当たり前」を創造していったのか。そこには、技術開発の面白さ、不可能を可能にする挑戦の興奮、そして天才を活かすマネジメントの極意が詰まっています。ケタリングの驚くべき発明の数々と、その知られざる物語を、どうぞお楽しみください。

    参考書籍

    • 「⁠⁠GMとともに⁠⁠」アルフレッド・P・スローン J(著) 有賀優子(訳)
    • 「⁠⁠マネジメントの世紀1901−2000⁠⁠」スチュアート・クレイナー(著) 嶋口 充輝 (翻訳), 黒岩 健一郎 (翻訳), 岸本 義之 (翻訳)


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    25 分
  • #54 アルフレッド・P・スローン Jr. ②:スローン流「組織革命」と市場制覇のマーケティング戦略
    2025/05/26

    アルフレッド・スローンとGMの物語、今回は、彼がGMという巨大な船の舵を取り、いかにして組織を鍛え上げ、市場を制覇し、そして絶対王者フォードに戦いを挑んでいったのか、その具体的な戦略と戦術を、熱気あふれる1920年代から40年代のアメリカを舞台に徹底解剖します!

    狂騒のジャズエイジ、そして暗黒の世界恐慌…。そんな激動の時代に、スローンはGMの内部でどんな「組織革命」を断行したのか? 天才財務マン、ドナルドソン・ブラウンと共に、どんぶり勘定だったGMのお金の流れを「見える化」した驚異の財務改革とは? そして、巨大組織を効率的かつ柔軟に動かすために発明された「事業部制」の秘密とは?

    さらに市場では、ヘンリー・フォードの「T型フォード一択」戦略に対し、GMはいかにして「あらゆる人々の、あらゆる目的と予算に合う一台を!」というスローガンのもと、シボレーからキャデラックへと続く鮮やかな「ブランドの階段」を築き上げたのか。今では当たり前の自動車ローン(GMAC)、中古車下取り、そして毎年人々を熱狂させた「年間モデルチェンジ」とハーレー・アールのデザイン革命…。これらの革新的なマーケティング戦略が、いかにフォードを追い詰めていったのか? そんな物語をトークしています。

    参考書籍

    • 「⁠GMとともに⁠」アルフレッド・P・スローン J(著) 有賀優子(訳)
    • 「⁠マネジメントの世紀1901−2000⁠」スチュアート・クレイナー(著) 嶋口 充輝 (翻訳), 黒岩 健一郎 (翻訳), 岸本 義之 (翻訳)


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    32 分
  • #53 GM帝国を築いた男、アルフレッド・P・スローン Jr. ①:静かなる革新者はGMで何を夢見たか?
    2025/05/19

    今回の主役は、20世紀という激動の時代に、自動車という名の巨大産業を創り上げ、そして「近代経営の父」とまで呼ばれるようになった伝説の男、アルフレッド・P・スローン・ジュニア

    彼が率いたゼネラル・モーターズ(GM)は、いかにして世界の頂点に立ったのか?

    今回は、まず、私たちの働き方を根本から変えた産業革命と「工場」の登場、そしてそこで生まれた**「マネジメント」という新しい知恵の物語からスタート。その歴史の大きなうねりを背景に、若き日のアルフレッド・スローンが、いかにしてその類稀なる才能の片鱗を見せ、24歳という若さで倒産寸前の会社の社長に就任し、見事再建に導いたのか。そして、GMのカリスマ的で破天荒な創業者ウィリアム・C・デュラントとの運命的な出会いと、全く異なるリーダーシップスタイルを持つ二人が、GMという巨大な船の未来をどう左右していったのか…。

    「経営の天才」は、いかにして鍛えられたのか? 「静かなる革新者」スローンの、GM帝国建国前夜の物語です。


    参考書籍

    • 「GMとともに」アルフレッド・P・スローン J(著) 有賀優子(訳)
    • 「マネジメントの世紀1901−2000」スチュアート・クレイナー(著) 嶋口 充輝 (翻訳), 黒岩 健一郎 (翻訳), 岸本 義之 (翻訳)


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    https://www.valuebooks.jp/shelf-items/folder/84676b46a574170


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    30 分
  • #52 「余暇」の呪縛 - あなたの心を縛る「べき論」からの脱出
    2025/05/12

    「週末はしっかり休んでリフレッシュ!」のはずが、なぜか疲れてしまう。「自己投資のために何かしないと」「充実した余暇を過ごさなきゃ」…そんな風に、私たちはいつの間にか余暇にさえ「あるべき」を求めてしまっていないでしょうか?

    このポッドキャストでは、**ハンナ・アーレントの『人間の条件』をヒントに、**現代人が余暇を心から楽しめない背景を考えていきます。

    「何もしない」ことへの罪悪感から解放され、心からの休息や自由な時間を手に入れるためのヒントを、このエピソードで見つけてみませんか?

    📘 参考書籍

    • 『人間の条件』 ハンナ・アーレント 著/清水速雄 訳
    • 『だれのための仕事』 鷲田 清一 著
    • 『近代の労働観』 今村 仁司 著
    • 『仕事なんか生きがいにするな』 泉谷 閑示 著
    • 『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か』 カトリーン・マルサル 著/高橋 璃子 訳


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    38 分
  • #51 私達はなぜ働くのか? 近代労働観が遺した功罪:後編(近代~現代編)
    2025/04/14

    「やりがい」や「自己実現」を求める一方で、なぜ私たちは時に「労働の疎外感」や「虚しさ」を感じてしまうのでしょうか? チームメンバーとの間で「働く意味」の価値観が食い違うのはなぜでしょうか? その答えのヒントは、近代以降の歴史の中に隠されています。

    このエピソードでは、まず西洋社会において、宗教改革によって生まれた「神聖な天職」という考え方が、どのように資本主義の発展と結びつき、「経済的価値」を最優先する流れを生み出したのか。そして、その影として現れたマルクスの「労働の疎外」や、現代的な「バーンアウト」といった問題。さらには、それに抗う「労働の尊厳」という理念の誕生までを紐解きます。

    同時に、近代化の道を歩んだ日本が、福沢諭吉、渋沢栄一、新渡戸稲造、賀川豊彦といったキーパーソンたちを通じて、西洋の労働観とどう向き合い、日本の伝統と融合させながら独自の「働く意味」を模索してきたのか。そして、戦後の「企業戦士」の時代から、現代の「働き方改革」や価値観の多様化へと至る、目まぐるしい変遷を辿ります。

    過去の労働観の変遷を知ることは、現代の複雑な労働問題を理解し、私たちが無意識に囚われている「働くことの常識」を客観視(メタ認知)する上で不可欠です。マネージャーとして、多様な価値観を持つメンバーとより良く協働し、これからの「人間らしい働き方」や組織のあり方を構想するための、深い洞察と具体的なヒントを提供します。

    参考書籍:

    📘 『仕事』(今村仁司 著)

    📘 『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』(ジョナサン・マレシック 著)

    📘 『論語と算盤』(渋沢栄一 著)

    📘 『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか 』(酒井隆史 著)

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    29 分
  • #50 私達はなぜ働くのか? 労働観の起源を探る旅:前編(古代~近世編)
    2025/04/07

    なんと今回で50回目の配信となりました。

    今回は(ゆるくやるつもりが結局深掘りしてしまいましたが…)、「労働とは何か?」という、誰もが関わる根源的な問いを、歴史を紐解きながら皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

    「お金のため(貨幣価値)」と「やりがいや貢献(社会的意義)」。現代の私たちは、働くことに対して様々な価値観が入り混じり、時に混乱したり、バーンアウトしたり、あるいは部下との1on1で価値観の違いに戸惑ったり…。こうした悩みの根っこには、実は、私たちが無意識のうちに受け継いできた、歴史的な「労働観」の変遷が深く関わっているのかもしれません。

    このエピソードでは、そのルーツを探る旅の前編として、古代ギリシャ・ローマ世界、ユダヤ・キリスト教における「罰」としての労働、中世ヨーロッパの「祈る者・戦う者・働く者」という身分社会での労働、そして宗教改革による「天職」という概念の誕生まで、西洋の労働観の大きな流れを追います。さらに、それとは対照的に、古代から中世にかけての日本では、神道・仏教・儒教の影響の下で、労働が「神聖な営み」「功徳」「奉仕」「修行」として、どのように肯定的に捉えられてきたのかも見ていきます。

    歴史を知ることで、現代の私たちが「当たり前」と思っている労働観が、決して普遍的なものではないこと、そしてそれがどのように形作られてきたのかを客観的(メタ認知)に捉えることができます。

    マネージャーとして、多様な価値観を持つチームメンバーと向き合い、これからの「働く意味」を考える上で、きっと多くのヒントが見つかるはずです。

    参考書籍:

    📘 『仕事』(今村仁司 著)

    📘 『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』(ジョナサン・マレシック 著)

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    35 分
  • #49 アンラーニング:手放すことでひらかれる成長の扉
    2025/03/24

    このエピソードでは、「アンラーニング(unlearning)」をテーマに、なぜ私たちは過去の成功体験に縛られ、新しい環境への適応を阻まれてしまうのか、そしてその壁をどう乗り越えるかについて掘り下げていきます。

    急激に変化する時代において、私たちは新しい知識やスキルを学ぶだけでなく、時には「過去の学びを手放す」ことが求められます。これこそが、アンラーニングです。

    このエピソードでは、以下の11章にわたって、アンラーニングの概念、実践、そしてリーダーシップとの関係性を丁寧に解説しています。

    1. アンラーニングとは
    2. なぜアンラーニングが必要なのか、成功のパラドックスとコンピテンシー・トラップ
    3. 人間の本質的な部分が、アンラーニングを必要とすること
    4. 方法の原理とアンラーニング
    5. アンラーニング、2つのレベル
    6. 学習志向と他者評価志向
    7. アンラーニングを妨げるもの
    8. アンラーンの3つの行動サイクル
    9. アンラーンできる組織づくり
    10. ヘンリー・クラウドのリーダー論とアンラーニング
    11. まとめ


    アンラーニングは、単に知識を捨てるのではなく、固定化された思考や行動の「ほぐし」によって、新しい自分をつくり出すためのプロセスです。このプロセスを通じて、変化に強く、しなやかな個人や組織を育むヒントを探っていきます。

    参考書籍:

    📘 仕事のアンラーニング(松尾 睦 著)

    📘 アンラーン戦略(バリー・オレイリー著)

    📘 チームの力(西條 剛央 著)



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    26 分