エピソード

  • 54|芥川は魔都・上海で何を見てしまったのか─藤谷浩悦『芥川龍之介の中国遊歴 光と影の軌跡』
    2025/12/15

    今回の感謝本:

    藤谷浩悦『芥川龍之介の中国遊歴 光と影の軌跡』(春風社)

    【今回のトピック】2025年最終回/連続鈍器読書で辿り着いた芥川/上海からの帰国後体調不良→「ぼんやりとした不安」へ/上海でなにを見てしまったのか?/村上春樹が書いた芥川評とは/歴史人類学者が調査した芥川の謎/当時の上海に新聞社と出かけた場合、かなりヤバいものを見てしまったのではないか/まずは当時の時代背景を振り返る/1921年=第一次大戦が終わって間もないころ/清から中華民国へ/革命と戦乱直前の魔都・上海/極東オリンピックを上海で/原内閣、東亜新聞記者大会を開催/キーマンは電通の光永星郎、大阪毎日新聞の/当時の電通=ニュースと広告を同じ会社がつくっていた/光永星郎、軍や諜報機関と結託した報道で大いに儲けた/当時の新聞社はほぼ諜報機関/軍や警察とズブズブ/当時の上海にはそんな記者=スパイがうろうろ/勃興しつつある社会主義や共産主義関係者を調査/新聞社以前、海軍学校で英語教師をしていた芥川/前任教師・浅野和三郎、大本教にハマって退職/その後不敬罪で一斉検挙など国内も争乱の季節へ/上海で芥川をアテンドした「村田くん」=孫文とコネのあるスパイ/中国共産党の創設者のひとり・李人傑と芥川の対談を設定/村田の目的は共産党関係者の調査/諜報機関に翻弄されていると知りながらの旅/精神を病み自死した母の秘密/母を知る鄭孝胥に上海滞在中2回も会いに行っている/帰国後すぐ短編「母」を執筆/「上海遊記」で何が書かれてないかが重要/大本教、上海、1920年代、電通、陰謀論/「ぼんやりとした不安」としか書けなかったのでは

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    45 分
  • 53|「パーン!」ってなる読書と“恨”の在りか─ ⁠⁠斎藤真理子『韓国文学の中心にあるもの』
    2025/12/08

    今回の感謝本:

    金原ひとみ『踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君』(朝日新聞出版)

    『GOAT meets』(小学館)

    斎藤真理子『韓国文学の中心にあるもの』(イーストプレス)


    【今回のトピック】再読せよと呼ばれてる/「パーン!ってなる」とは/「降りてくる」に近い「呼ばれてる」感/いいライブに行くと視覚が邪魔になる/皮膚も耳なんだから!/「パーン!」の流れを紹介しよう/金原ひとみ『踊り場に立ち尽くす君と日比谷で陽に焼かれる君』から/いい意味で過去エッセイまとめ本と思えない編集方針/小説とエッセイが区別されず掲載されることでゆらぐ虚実の境界/オートフィクション、私小説、ノンフィクションノベル/何度も登場する牡蠣と白ワイン/金原、朝吹、イ・ラン鼎談目当てで手に取った『GOAT meets』往年のカルチャー誌のような豪華な企画/韓国独特の民族的情緒・“恨”に出会ったふたり/「ぼくも“恨”で書いてるかもしれない!」/からの、斎藤真理子『韓国文学の中心にあるもの』/『82年生まれ、キム・ジヨン』の国際的ブームから遡っていく構成/作品から紐解く韓国の特殊な近現代史/パーン!後の読書はくらうこと確定/なぜ韓国では純文学や詩人の地位が高いのか/光州事件、IMF危機、セウォル号事故/“恨”はどこから生まれるのか/極端な二面性を持ちながら世界に魅力を放つ国

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    33 分
  • 52|2025年振り返り─感謝とは世界の見方ががらっと変わる瞬間に訪れるもの
    2025/11/30

    【今回のトピック】人体改造手術を受けた武田/2025年どんな年?/12キロ減量し鈍器本を読み続けた廣田/フリクションネス/安易で便利な時代になるほど人が病むという現象/最新トレンド=苦痛こそラグジュアリー/ビルケンシュトックによるサンダル修理ワークショップ/修理する権利/鈍器本の苦労と快楽/生の実感を取り戻す苦痛と恐怖のエンタメ/寝ながら読むな鈍器本/2025年の感謝本を振り返る/最高の感謝のために/読了済みだが紹介してない鈍器本たち/計画的に偶然を待つ/セレンディピティの打率を上げる鈍器本/知識の鳥居をつくる/生年から現在の年齢を引いた年に書かれた本を読むべし!/「くらう」とはなにか/三大欲求は満たしすぎてはいけない/世界の見立てが変わるような瞬間に訪れる情緒=感謝/来年はよりハードコアに読み続けよう/ひらめきとともに断片と出会い続けること/ドゥルーズとガタリ、あるいはふたりの藤子不二雄/読書術ではなく読書スタイルをつくりたい

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    38 分
  • 51|易から見るビジネス・近代・横浜
    2025/11/04

    今回の感謝本:高木彬光『「横浜」をつくった男 易聖・高島嘉右衛門の生涯』(光文社文庫)


    【今回のトピック】田中純『磯崎新論』が出てくると思ったが/ネオダダにコミットしてた磯崎は建築ぎらい?/戦中派ゆえに感じる「建てることの不可能性」/反建築のまま建築すること/廃墟の絵からスタートしたつくばセンタービル/電通出身ながら広告をつくったことがほぼない廣田/反広告、反マーケ、反プロモーション/一番ラジカルなのはコンテンツ/財閥レベルの商才があったのに歴史から存在を消した男・高島嘉右衛門/ビジネスマンであり稀代の易者/嘉右衛門、14歳で南部藩の製鉄所事業見積もりを記す/易で地震を予想し的中/外国人相手の伊万里焼き屋を横浜でひらき大当たり/不良外国人とつるみ金銀のレート差を利用しボロもうけ/仲間に裏切られ逮捕/投獄中に本格的に易を学ぶ/語学堪能な若者(後の帝国ホテル支配人)を超高額で雇う/大使館を建てたい外国人から大量受注/和洋折衷の大旅館・高島屋をつくる/大隈重信や伊藤博文を占ってあげマイメンに/鉄道建築を進言し埋め立て事業を担当/日本初のガス会社も設立/陸奥宗光に陰陽論をベースに「横浜に遊郭をつくろう!」と進言/横浜は易でできた町/政局・戦況を常に占う/伊藤博文暗殺を予言してしまい個人を占うことを辞める/拡大路線をとらずすっぱり隠居/易で「見る」大局観のおもしろさと強さ/ずっと再魔術化の話してない?

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    47 分
  • 50|送り迎え後のウォーキングから世界を変える─池田光史『歩く マジで人生が変わる習慣』
    2025/10/27

    今回の感謝本:池田光史『歩く マジで人生が変わる習慣』(NewsPicksパブリッシング)

    【今回のトピック】 「いい本ってどんな本ですか?」と聞かれたら/関心のジャストミート本と補助線本/読了後に行動が変わる本/自己啓発書が嫌いだった武田/憑依型人間にとって自己啓発書は劇薬!/習慣づけが難しい子育て世代とトレーニング/保育園送り後に始めた30分ウォーキング/ビジネス・自己啓発書に擬態した仲間集めの書/本は建築・目次は間取り図/メタ社屋上には東京ドーム規模の人工トレイルがある/テンセント本社で社員は歩きながら会議する/万歩計は日本のイノベーション/歩くと脳がフリーになる/若者が好むおしゃれな町=ウォーカブルな町/女性の歩数が少ない町とは/ベアフットシューズに出会って人生が変わったという著者/小股で足のセンサーで地面を味わって歩いていた人類たち/地面の情報を得て考えながら歩く楽しさ/歩くだけで楽しい靴らしい/再魔術化としての徒歩/感謝本が鈍器本を連れてきてくれた/番組でベアフットシューズ・BASHOつくりたいね

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    29 分
  • 49|なぜ今、民俗ホラーなのか
    2025/10/20

    【今回のトピック】武田人生初のホラーゲームチャレンジ中/なぜいまホラーなのか/花王によるホラーゲーム「しずかなおそうじ」/『ネット怪談の民俗学』/2020年代以降のフォークホラーブーム/アメリカの若者、22%が定期的にホラーゲームをプレイ/方南町にあるオバケンの恐怖体験/ホラー的表現がメジャー作品に浸食している/「サイレントヒル」シリーズ概論/最新作『サイレントヒルf』で描かれる1960年代の山間の村/町に散らばる手記の断片から想像する事件のあらまし/周回プレイ前提の分岐型シナリオ/コントローラーのスピーカーから流れるラジオの音/第4の壁を越えてくる演出/最新のイマーシブ型ホラー「Viola's Room」/爆弾処理班体験×演劇「Trigger Point」/なぜひとは恐怖を味わいたがるのか/近代以前のほの暗さへの郷愁/バナキュラーへの回帰と代替不可能性/道の駅とクラフトビール/世界は中世に戻ってる?/「世界の再魔術化」/高度なテクノロジーによってひとは世界から阻害される/狐憑きから統合失調症へ/恐怖による「生」の再獲得/教会建築やグラフィックによる情報伝達=中世的/フェイクニュースと都市伝説の差違はあるか/お化けやゾンビは映し鏡/感謝の妖怪つくりたい

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    33 分
  • 48|急にいなくなっちゃった「あの人」との別れ方
    2025/10/06

    今回の感謝本:

    宇波彰『旅に出て世界を考える』(論創社)

    中沢新一『大阪アースダイバー』( 講談社)


    【今回のトピック】トップ難関校だけが入塾できる東大受験専門予備校・鉄緑会での出会い/東大より過酷な環境/高3から入塾しビリだった廣田/物理の授業で隣になったSさん/異次元難易度の理三/塾帰りの公園でやった花火/Sさん卒業式を欠席しひとりリビアへ/文通のはじまり/思春期特有の距離感/「友達だったら一生仲良くいれるよね」/研究医としてアメリカで活躍/8月、突然伝えられた訃報/同い年の親友ともう会えないなんて思えない/リビア滞在中の手紙に「宇波先生っていう仏文研究者と会った」/1996年にリビア滞在中に書かれたエッセイを発見/同書内に前回の感謝本・中沢厚『石に宿るもの』が登場/大阪ってNYぽくない?/ふとSさんの大阪でのキャリアを思い出す/梅田の紀伊國屋書店で手に取った『大阪アースダイバー』/東西を重要な通りと考えた大阪/生駒山から太陽が昇り中百舌鳥へ沈む/中百舌鳥=古墳のショーケース/古代人「死んだ魂は山へ還る」/万博を無視して往馬大社へ/誰もいない境内に舞う蜻蛉たち/招かれているときの神社はハンパない/「こんな感謝のしかた、あんのかよ〜」/「くらげなす」土地と傀儡子による無縁社会/追悼・本・感謝

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    46 分
  • 47|藤井風がシンボルスカを連れてきた!─ヴィスワヴァ・シンボルスカ『瞬間』
    2025/09/29

    今回の感謝本:ヴィスワヴァ・シンボルスカ『瞬間』(未知谷)

    【今回のトピック】執筆の目処が立ってきた武田/あこれがれの文体は自分では扱えない/藤井風への複雑な距離感/ルーティンを手放していく/憑依型はリファレンスを要しない?/本をテーマにしたpodcasterたちのイベント「選書イズラブ (with Podcasters)」に参加します!/本棚の中で光を発していた1冊/激動の時代のポーランドをまなざす詩人/読みを助けてくれる訳者解題/「だって詩集なんだもん」/「瞬間」「ひしめき合う世界で」/処方箋的なことばと問いを拡張してくれる詩/選書なのに自分で選んだ気がしない/たくさんの哀しみを経験したひとの発する優しさ/シンボルスカの2つの大きな喪失/祖国は亡くとも風景はたたずんでいる/自分が自分でいることの圧倒的偶然性/自分にとって大切なことばは自然とつながりあう/ペイフォワードしていくんだ/藤井風がシンボルスカを連れてきた!/書かされているという感覚/「さまよえる魂の通り道」っていうとアレだけど、でもそうだよね▼番組への感想、メッセージ、あなたの感謝本をぜひお送りください!https://forms.gle/jSZMtD58zpaD3gzH9

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    37 分