懐中時計
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ナレーター:
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岩本 紗依
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著者:
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夢野 久作
このコンテンツについて
懐中時計が箪笥の向う側へ落ちて一人でチクタクと動いておりました。鼠が見つけて笑いました。
「馬鹿だなあ。誰も見る者はないのに、何だって動いているんだえ」――℗RRJ Inc.
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「どうしたんか」
「アッ。草川の旦那さん」
草川巡査はねむそうな眼をコスリコスリ青年の顔を見直した。
「何だ。一知じゃないかお前は……」
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「何……殺されている? お前の両親が……」
「はい。今朝、眼が醒めましたら、台所の入口と私の枕元に在る奥の間の中仕切が開け放しになっておりましたから、ビックリして奥の間の様子を見に行ってみますと、お父さんと、お母さんが殺されております。蚊帳(かや)が釣ってありますので、よくわかりませんが
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