きのこ会議(小学館の名作文芸朗読)
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そのうちに近所が静かになると、露子さんは不図妙な音に気がつきました。雨戸の真中あたりと思う処から、「キキリココリ。ククリキキリ。フフリチチリ。リリリツツリ」と小さな音が面白く調子よく聞こえて来ます。見ると、その雨戸のさんの上に小さい小さい虫が一匹、洋服を着て眼鏡を掛けて、揺れ椅子に腰をかけて書物を読んでいます。今の音は虫が揺れ椅子をゆする音でした。
「あなたが毎日お母様の云い付けをよく聞いて働いておいでになる事は、私はよく存じています。キキリキキリ、チチリチチリチチリチチリ、あなたは最前から寝床の中で泣いておいでになったようですが、何かお困りになったような事はありませぬか」
夢野久作
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。1889年(明治22年)1月4日-1936年(昭和11年)3月11日。他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれ
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夢野久作
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。1889年(明治22年)1月4日-1936年(昭和11年)3月11日。他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれ
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夢野久作
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。1889年(明治22年)1月4日-1936年(昭和11年)3月11日。他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大
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「あやかし」という名前はこの鼓の胴が世の常の桜やつつじとちがって「綾になった木目を持つ赤がし」で出来ているところからもじったものらしい。同時にこの名称は能楽でいう「妖怪(アヤカシ)」という意味にも通っている。
この鼓はまったく鼓の中の妖怪である。皮も胴もかなり新らしいもののように見えて実は百年ばかり前に出来たものらしいが、これをしかけて打ってみると、ほかの鼓の、あのポンポンという明るい音とはまるで違った、陰気な、余韻の無い……ポ……ポ……ポ……という音を立てる。
この音は今日迄の間に私が知っているだけで六、七人の生命を呪った。しかもその中の四人は大正の時代にいた人間であった。皆この鼓の音を聞いたために死を早めたのである。
これは今の世の中では信ぜられぬことであろう。それ等の呪われた人々の中で、最近に問題になった三人の変死の模様を取り調べた人々が、その犯人を私――音丸久弥と認めたのは無理もないことである。私はその最後の一人として生き残っているのだから……
私はお願いする。私が死んだ後にどなたでもよろしいからこの遺書を世間に発表していただきたい。当世の学問をした人は或は笑われるかも知れぬが、しかし……
楽器というものの音が、どんなに深く人の心を捉える
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実写化するとしたら
- 投稿者: Amazonカスタマー 日付: 2024/08/25
著者: 夢野 久作