老巡査
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ナレーター:
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あべわき
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著者:
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夢野 久作
このコンテンツについて
<内容紹介>
睦田老巡査は、足元に落ちていた金口の巻きタバコの吸いさしを見つけた。そこらに灰が散らばっており、今しがた投げ捨てたものだったが、火は完全に消えていた。
睦田巡査は失望して力ない手つきでメガネを外した。睦田巡査はこれまでもこうした機会を逃し続けていた。金口のタバコを吸っている人間がどんな人か考えれば、何かの事件の鍵になるかもしれない。
睦田巡査は五十を超えており、まだ部長にもなれずにいた。巡回を続けながらも功績も過失もなく平凡に巡査生涯を過ごしていた。何か事件が起こる度に、この仕事は自分に向かないと考えていたが、病身の妻と大勢の子供のことを考えると、辞職することはできなかった。
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そして、睦田巡査はこの気に及んでも、先ほどの金口のタバコのことを忘れてしまい、そのまま巡回を終えてしまった。そして、翌朝のこと。彼が巡回した受持区域内のある富豪宅で強盗事件が起こった。
なんと、その事件が起こった時間が、睦田巡査が巡回している時間とぴったり一致したのだ。
<夢野久作(ゆめの・きゅうさく)>
日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。
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今までに幾人となく引き裂かれ、切りちぎられ、タタき付けられた女工や、幼年工の亡霊を嘲る響き……
このあいだ打ち砕かれた老職工の頭蓋骨を罵倒する声……
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私は、私の父親が頓死をしたために、無経験のまま、この工場を受け継がせられた……そうしてタッタ今、生れて初めての実地作業を指揮すべく引っぱり出された。
「ナアニ。やって見せる。児戯に類する仕事だ……」と、私は腕を組んだまま悠々と歩き出した。
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夢野久作
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